大判例

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東京高等裁判所 昭和43年(行ケ)107号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕(本件審決を取り消すべき事由の有無について)

二 原告らは、本件審決には、本願発明をもつて、単に第一引用例及び第二引用例記載のものから容易に推考しうるとした点において判断を誤つた違法がある旨主張するが、この主張は理由がないといわざるをえない。すなわち、第一引用例及び第二引用例にそれぞれ本件審決認定のとおりの各装置が記載されていることは、原告の認めて争わないところであり、また、立植する稲の穀稈を刈り取らずに稲穂だけを収穫すること及び刈取、結束を省いて稲穂だけを機械的に爪付ローラで脱穀して収穫することが、いずれも本願出願前周知の技術であつたことも、原告の認めて争わないところである。そして、右第一引用例によると、同号証記載の刈取兼用脱穀機においては、立植した稲麦の穀稈がガイド杆1、2に沿つて廻転抜歯3の方向に送り込まれると、送入穀稈の穂先は挿入口23より切込溝22内に入り込む構造のものであることが認められ、また、前記第二引用例によると、同号証記載の刈取脱穀機には、前方より下底にかけて開口した刈取採取室14があり、その室内で廻転刃体13が穀稈を刈り取るものであることが認められるところ、これらのものから、本願発明における、立粍状の稲穂を入れる開口を有し、その内部で脱粒すべきケーシングを着想することは、前記周知技術及びこの種機械の設計上の経験則に徴するときは、当業者の容易にできるところであると認めるのを相当とし、かつ、右第二引用例によれば、刈取採取室14、螺旋翼28、脱穀室15、吸塵送出翼車29、機体11及び連通管16よりなる構成部分は、刈取採取室14において刈り取りはね上げられてくる脱穀未処理物が脱穀室15内へ吸入され、脱穀処理されて、その脱穀処理物が吸塵送出翼車29により吸引され、排塵口22へ移送されるという一連の機能を営むものであることを認めることができ、このような脱穀処理物の羽根車の回転による吸引送出の移送機構から、本願発明における脱粒された籾を風洞を経て籾収容容器に送出する送風羽根車に関する着想を得て実施することは、やはりこの種機械の設計上の経験則に照らし、当業者の容易になしうるところとするを相当とする。したがつて、稲収穫機において、本願発明のような構成をとることにより、立粍状の稲穂のみを機械的に脱粒して籾だけを収穫し、稲藁は地上に残しておくようにすることは、前記周知技術と相まつて、第一引用例及び第二引用例記載のものから容易に想到実施しうべき程度のものと認めるのを相当とすべく、他にこの認定を左右すべき証拠資料は存しない。したがつて、また、本件審決が、本願発明をもつて第一引用例及び第二引用例記載のものから容易に発明しうるものと判断したことは、前記周知技術の存在を前提とする限り、正当であり、原告ら主張の点において、判断を誤つたものとすることはできない。

(むすび)

三、以上のとおりであるから、その主張のような違法のあることを理由に、本件審決の取消を求める原告らの本訴請求は、理由のないものといわなければならない。よつてこれを失当として棄却する。 (三宅正雄 石沢健 滝川叡一)

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